平成18年(2006年)5月5日
日本再生研究会 代表 梶原 拓(前全国知事会会長、前岐阜県知事)
1 平成17年2月5日、4期16年にわたる岐阜県知事の任を終え、また地方分権改革を主要な任務とした全国知事会会長職を退任しました。昭和31年(1956年)、建設省に入省以来、半世紀の間、国および自治体(福島県、鳥取県、岐阜県)にて国そして地域のため微力を尽くして参りました。その故をもって春の叙勲に際し、旭日大授章の栄に浴することとなりました。多くの方々に支えていただいたお陰によるもので、私自身こうした大きな名誉に値する功績があったかどうか確かな自信はありませんが、「地方の時代」といわれている今日、地方自治に対し明るい光を当てていただいたことに心より感謝申し上げます。
2 思い返しますと。初めて役所に入った当時、上司の三橋信一課長から、折に触れ、「行政はピープル(国民・市民)のためにあるのだよ。いつもそのことを忘れたら駄目だよ」と教え込まれました。この役人としての原体験がその後の公務員生活の精神的基盤となってきました。国の職場でも、自治体の職場でも、何事も「国民・市民本位」の発想を大切にしてきました。特に自治体行政の中では常に地域住民の立場・現場感覚で物事を考えて来ました。そして平成元年(1989年)岐阜県知事に就任したとき、<もはや岐阜県は「国の下請け機関」ではない。県民の夢を実現する「県民の下請け機関」である>と「脱国の下請け宣言」をし、県民主役の「夢おこし県政」として全国に大きく先駆け数多くの改革を進めて来ました。いわゆる「改革派知事」の草分けの役割を果たしたと自負しています。
3 平成15年(2003年)7月、飛騨高山で全国知事会議が開催されたとき、主催県として「闘う知事会議」を標榜し、会議を曾てない激しい議論が展開される場に変えました。その後間もなく9月に、図らずも全国知事会の会長に就任しました。それから、いわゆる「三位一体改革」を巡り国側と自治体側の激しい攻防が始まりました。結果は自治体側には大きな不満が残る結末となりましたが、これを機に全国の都道府県、市町村がすべて地方六団体を中心に結束し、一体となり、国側と対等に協議する場を獲得することができました。本格的な地方分権への足場が固まりました。史上初めてのことでした。
3 岐阜県知事、全国知事会会長の職は引きましたが、地方分権を進め、地域も市民も自由に創意工夫を活かし、独自に個性を発揮し、活力を生むことができる新しい日本を創らなければとの想いは変わりません。昨年5月、とりあえず任意団体として「日本再生研究会」を創設したのも、そのためでした。
同年12月、「日本再生研究会」発足記念を兼ね、岐阜市で同志とともに「新しい日本を創るネットワーク」の結成を呼びかける会を開きました。メンバーは、かねてより提携を深めてきた同志
浅野 史郎 氏 一緒に分権改革に取り組んできた宮城県知事
加藤 秀樹 氏 協力して「国と地方の税制改革」を提言してきた「構想日本」代表
光永 勇 氏 全国の勝手連をリードして三十数年、一貫して市民の立場で政治、社会活動を進めてきた全国勝手連連合会会長
私を含め4人で、この4者が共同で新しい日本を創る運動の輪を広げて行くことを宣言しました。
4 このたび、これら4者のほか、角間隆氏・国際ジャーナリスト会議・議長(小生は同会議評議員会議長)の参加を得、5者が共同世話人となり、「新しい日本を創るネットワーク」の発展として「日本市民会議」を立ち上げることとしました。これからは市民が主役となって新しい日本を創って行かなければとの想いで一致して行動を起こしました。日本再生のため各種提案をし、それを実践活動に繋げて行く、その市民エネルギーを結集する、「知行合一」の推進母体を創立しようとするものです。私にとっては「闘う知事会」の延長線上にある「闘う市民会議」とも称すべきものです。また既成イメージの市民運動ではなく、良識ある健全な新しいイメージの市民運動を発展させたいとの願いもあります。
5 「日本市民会議」が市民エネルギーの結集であるからには、生活の現場から市民が立ち上がることが必要です。市民一人一人の「小さな声」が集まり、まとまり、そして「大きな声」となり、「弱い声」が「強い声」となり、現実に社会を動かしていかなければなりません。それには各地で多くの自主的な市民グループができ、相互に交流し、意見を交換し、議論もし、提案をまとめ、それをアピールし、実行に移して行く活動が「日本市民会議」の活力の源泉となります。その市民グループを各地で秩序ある市民運動の場「市民委員会」として皆で育成していきたいと考えています。
6 「日本市民会議」は、市民エネルギーで社会を変えていく活動体であると同時に、市民相互に助け合い、市民生活を守って行く新たな共同体「市民家族」でもありたいと願っています。個々の市民が人権侵害を受けた時などには、総力を挙げて市民を救済できるようにしたいと思います。そのため「司法支援センター」(法テラス)など各種支援機関・組織と連携して行きます。信頼できる弁護士、病院等のリストづくりにも着手します。「日本市民会議」は会員の会費で運営されます。メンバー制です。市民が力を合わせ、社会を変え、また相互に助け合い、安全で、安心でき、かつ、豊かな生活を享受しようとする市民共同体の分担金が会費です。
個人会員 1人年間1口1万円 学生は5千円
法人会員 1団体年間1口10万円
7 インターネットの普及率は6割を越したと言われています。20〜40歳代は8割以上となりました。インターネットは市民が自由に使える文明の利器です。「日本市民会議」はインターネットを市民相互の交流・連携に、また対外的なアピールに大いに駆使することができます。障害に立ち向かって闘う武器にもなります。以前には想像できなかったような大きな力強い活動が展開できます。インターネットがあって初めて「日本市民会議」が成り立つと言ってもいいでしょう。「市民家族」はITのネットと心の連帯で結ばれる「Eートピア」を目指します。
しかし、一定のルールの下での秩序あるインターネットの利用でなければ社会の信頼を得られません。「日本市民会議」が正しいネット活用の模範を示し、横行するインターネット悪用の風習を正して行くことに繋がればと思います。不正利用を防ぐためには本人確認が必要で、公的個人認証制度の活用も検討します。なお「日本市民会議」の連絡手段はEメールを基本としますが、ファックスなども使えるようにします。
8 「日本市民会議」は志を同じくする他の組織、団体、グループとホームページをリンクするほか、幅広く連携して、「小異を捨て大道に着く」精神で相互補完をしながら活動を共にします。「日本再建のため行革を推進する700人委員会」、「21世紀臨調」、(財)公益法人協会「市民チャリテイー委員会」などと連携を進め、広範な「同志ネット」を構築して行きます。
9 「日本市民会議」は日本の頭脳ともいうべき方々の知恵をいただき、知的水準の高い活動を目指します。「賢い市民」として学習し、活動しなければなりません。このため多くの学識経験者に助言者としてご支援願うこととしています。常時、助言していただく方は「シニア・アドバイザー」としてご協力願います。全国自治体の首長および議長にも市民生活の現場から情報や意見を提供する「助言者」になっていただくよう幅広く呼びかけます。また国内のみならず国外のジャーナリストなどにも「助言者」として協力していただくよう準備しています。日本の外から客観的で公正な意見を期待できますし、外国の正しい情報も得ることができます。「助言者」の方たちのご協力を得て、提案の策定と実行のための「研究会」「政策委員会」等の活動を開始します。当面、今秋予定されている総理大臣選出を控え「マニフェスト研究会」「政党・政治家評価委員会」などの設置が急がれます。さらには「日本市民会議」は政治的中立・不偏不党の立場を堅持しますが、国会議員の中で「市民派」の方々には超党派で「顧問」として情報の提供等をしていただきたいと考えています。なお、国の中心的存在として活躍された方には「名誉顧問」として大所高所からご指導願いたいと考えています。
10 来る6月14日(水)18時より東京・両国の国技館にて「日本市民会議」設立を目指して、1万人集会の開催を予定しています。その際、今秋の総理大臣の選出、それに関連して総選挙の実施をテーマにすべきという声があります。大集会の開催を機に、とりあえず任意団体として「日本市民会議」をスタートさせ、1年後には正式に法人格を有する「日本市民会議」を設立する計画です。できれば、その折りは5万人集会で盛り上げたいと検討しています。また「21世紀の国づくり」に因み21人の設立準備委員会を設けたい考えです。「日本市民会議」は会員数が多いほど大きな力を発揮することができます。1年後1万人、3年後5万人、10年後には50万人を目標に努力する意気込みで頑張っています。
11 このたびは身に余る叙勲を頂くことになりましたが、高齢化社会では70歳台はまだ現役です。国・自治体で長くお世話になった御恩返しとして健全な市民運動の発展のため「日本市民会議」の活動に尽力して参ります。「市民の時代」の到来は滔々たる時の流れです。我国の閉塞状況を打破するには市民パワーによるしかありません。形骸化した「国民主権」は「市民主権」で立て直さなければなりません。真の民主主義・地方自治の確立です。坂本龍馬は「日本の洗濯」をしていると国元へ手紙を書き送ったそうです。平成維新は「市民」という「せっけん」で日本を洗濯しなければなりません。多くの同志と共に、及ばずながら多少高齢ではありますが、龍馬(「シルバー龍馬」というべきか?)の心意気で日本再生の捨石となる覚悟です。よろしくご理解、ご支援を心よりお願い申し上げます。